2011年度オーストラリア英語研修旅行 感想文

R.U.(26期生男子) オーストラリアでの環境、またはそれに対する意識、対策の違いを探る

 今回の2週間の語学研修において一つ、とても日本と対照的であるなと感じたことがあった。水に対する考え方である。 今回は、この水問題について、少しまとめてみたいと思う。

まず最初に、日本の現状をいくつかまとめてみる。 先に答えが出てしまうが、日本はとても水資源に恵まれている国である。
(1)山岳地帯が多いため河川に恵まれている
(2)砂漠地帯がほぼ皆無
(3)年間平均降水量は、約1700mm
と水不足になる可能性がとても低い国であることがわかる。

それを踏まえたうえで、オーストラリアの状況を見てみる。
(1)山岳地帯はほぼ皆無である
(2)中心部に大きく広がる砂漠地帯のため、沿岸部付近でないと生活が困難なレベルで水の調達が難しい。
(3)年間平均降水量は約500mm
と、日本とはほぼ間逆の条件を持つことがわかる。

これらに対して、少しだけ補足を加えてみようと思う。

(1)山岳地帯に対してだが、なぜこれが重要なのかというと、そもそも河川というものは、高いところから低いところへ向かって形成されるものである。 そして日本で言えば、山頂に降った雨が、徐々に山を下っていき、それが徐々に河川を形成していくのである。 しかし、オーストラリアには山岳部が少ない。中心部はいわゆる、大鑽井盆地(だいさんせいぼんち)という、とても平らな土地になっているのである。 そのため、雨によってたまった水は、すべてまっすぐ地下へと吸い込まれていってしまい、河川になるには中々厳しい条件になっている。 現に、オーストラリアの主要的な都市は、全て沿岸部に集中している。

(2)も、先ほどの説明とほぼ同じ理由となる。 また、高低差による河川の形成が難しいだけでなく、砂漠地帯という地形により、水が安定せずに、ちりぢりに流れ出やすいということもひとつの要因となっている。一応、地下には大量の地下水が眠っているのだが、塩分が混じっており、農作や日常生活には使えない。用途としては、羊用の水としてぐらいしか使う道がないらしい。

(3)は、水不足における、一番の要因である。これも、先ほどの山岳地帯の話にかかわってくるのだが、オーストラリアは、気候の変動がとても激しい。なぜかというと、たとえば日本なら、雨が降ると、その重さによって高度を下げた雨雲が山に引っかかって、ずっと雨が立ち往生することは日常茶飯である。しかし、オーストラリアには山岳地帯が少ない。そのため、雨雲をさえぎる要因がほぼ皆無であり、天候が安定しない。ともなればやはり、雨雲が来てもすぐに流れてしまい、雨がずっと降り続けるということが、珍しいのである。日本に比べ、圧倒的に降水量が少ないうえ、先述のとおり水が安定しないこともあいまって、オーストラリアは総じて水が貴重な国であるということがわかる。

では、それに対する対策はどうなのか。 もちろん、日本でも考えられるような節水方法はいくつか目に付いた。 例えば、これは自分のホームステイ先で見ただけであって、ほかの家とは違うのかもしれないが、庭に大きな雨水用の貯水タンクを見つけた。現在は降水量が比較的多く、使われてはいなかったが、干ばつなどの水不足問題が起きた場合に備えているのであろう。

また、これは文化の違いなだけかもしれないが、自分のホストファミリーは、お風呂に使っている様子は一切なかった。それどころか、シャワーは夜に浴びるわけではなく、朝や昼のわずかな時間を使って浴びていることが多かった。 と、ここまでは普通に思えるのだが、ひとつだけとても日本ではありえない節水方法があった。それは、トイレを流さないことである。もちろん、数回分をまとめて後に流してはいる。しかし、やはり衛生面で考えると、あまりよろしくないのではないかと、疑問に思ったが、向こうの生活に慣れてくると、別に気にならなくなった。やはり、意識の違いなのであろう。 最初にそれを知ったとき、本当に驚いた。それどころか、学校の男子便器にいたっては、もとから水を流せないようにされていたのである。

日本では到底考えられないことだが、ホストファミリー曰く、オーストラリアではかなり一般的なことのようだ。 このように、オーストラリアでは水に対する考え方が日本よりも幾分厳しいということがわかった。

今回の感想

今回のオーストラリア英語研修は、とてもよい経験になったと思う。

今回のまとめのように、日本とは違う環境がいくつもあり、もちろん日本語は通じない。そんな中で、英語を話す能力もそうだが、何よりも言葉をどうにかして伝えようとする能力の向上が自分でもよくわかるくらいに伸びたと思う。 一番驚いたことは、自分の高校生レベルの英語であっても、その環境に慣れてきさえすれば、そこそこのコミュニケーションがとれ、むしろ忘れかけていたような文法事項を急に口が勝手にしゃべりだしているようなことも稀にあった。 また、今回の研修で、ホストファミリーとはもちろん、学校の数人の生徒とも連絡先を交換し合い、現在もeメールを交換している。内容はもちろん英語なので、文章を理解して返信するのはそう簡単ではないが、いい勉強になっている。また、こういったつながりを残せたこと自体もすごくうれしく、またメルボルンに行ってみたいと思うが、そのときにまた会えないだろうかと、またひとつ別の楽しみができた。今回、この研修に参加できて、とてもよかったと思う。

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